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脳神経外科

脳神経外科とは

 脳神経外科は神経系の病気に対し外科的治療と内科的治療を組み合わせて総合的に治療する科です。外科的治療には、手術室でメスを用いて治療や、カテーテルを使った脳血管内治療なども含まれます。

脳神経外科の病気について

脳神経外科で治療することのできるほとんどの疾患に対応しています。

  • 脳卒中:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など
  • 脳腫瘍:髄膜腫や下垂体腫瘍などの良性腫瘍、神経膠腫や転移性脳腫瘍などの悪性腫瘍
  • 頭部外傷:慢性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、脳挫傷
  • 正常圧水頭症
  • 機能的疾患:顔面けいれんや特発性三叉神経痛など
  • 脳膿瘍などの感染性疾患
  • 小児外科疾患:先天性水頭症、二分脊椎、嚢胞など
※一部の脳腫瘍や小児の疾患など、脳外科の中でも特に専門的な治療が必要と判断される場合は、他施設と共同して治療します。

こういうときは当科を受診してください

  • 急に激しい頭痛が起こった
  • 顔、手、口が動かしにくくなった
  • あたまを打って1か月ほどしてからぼーっとするようになった
  • 手足が震える、意識が消失するなど、てんかん様の発作がでる
  • 物忘れなど認知機能の低下が進行する
  • 「あたま」や「くび」の精密検査で異常を指摘された
  • そのほかかかりつけの先生に受診を勧められた場合

 特に、以下の症状のうち一つでも当てはまる場合は脳卒中の可能性が高いです。早く治療すれば回復できる見込みがあるためすぐにご連絡ください。

  • 顔面の片方の動きが悪い
  • 片方の腕の動きが悪い
  • 呂律が回らない、言葉がうまく話せない、まったくしゃべらなくなった

 特に脳卒中では症状が出た時間が大事です。連絡される際は何時何分に症状が出たのか、わからない場合は、正常であったのを見た最後の時間を確認してください。

当院の脳神経外科で診療して「いない」疾患

 脳脊髄液減少症、変性疾患、脊髄疾患など。
 神経内科、整形外科などの受診をお勧めします。

当院の脳神経外科の特徴

当院の脳神経外科における先進的な取り組み

1分1秒でも早く治療を開始できるような脳卒中治療体制

 脳梗塞は発症してから早期であれば、できるだけ早く治療を開始することで予後がよくなる可能性があります。我々は脳梗塞超急性期症例に対して「脳卒中スクランブル」体制を確立しており、ほぼ半分の症例で搬入から30分以内でのtPA投与を達成しています。さらに、脳の大きな動脈の閉塞が疑われる症例では、tPA投与と同時にカテーテル室へ搬送して血栓回収を行っています。
 発症してから時間が経っていると脳梗塞が完成してしまい上記治療の適応ではなくなりますので、脳梗塞が疑われる場合はすぐに救急車を呼んで病院を受診するようにしてください。

脳出血に対する神経内視鏡を用いた治療

 脳出血の外科的治療は、従来開頭して行われることが一般的でしたが、近年、神経内視鏡が用いられるようになっています。神経内視鏡を使うことで、開頭に比べて小さな傷と十円玉くらいの孔(穿頭)で血腫を取り除くことができるようになります。我々は脳出血に対し開頭術か神経内視鏡を使った手術を適切に使い分けて治療を行っています。

安心、安全な治療を目指して、術中モニタリング、術中ナビゲーション

 脳は複雑でデリケートな臓器であり、脳実質や血管、神経を損傷することで合併症が生じます。ナビゲーションを使うことで、頭の表面から中にある病変の位置や重要な構造物を確認することができ、大切な部分を温存すると同時に、病変へ正確に到達することができます。また生体モニタリングを使うことで手足を動かす神経を損傷していないかどうかを、手術中に確かめながら手術ができます。これらの機器を用いて安心安全な手術を心がけています。

当院の脳神経外科で行っている治療

開頭手術、顕微鏡下手術(マイクロサージャリー)

 脳神経外科の基本となる手術です。頭皮をメスで切開して頭蓋骨の一部を外し、顕微鏡下に手術をして病気を治します。
 代表的な手術:脳動脈瘤のクリッピング、開頭血腫除去術、開頭脳腫瘍摘出術、バイパス手術、微小血管減圧術など

脳血管内治療

 足の付け根や腕の動脈から、頚や脳の血管へカテーテルを進めて病気を治療します。
 代表的な手術:脳動脈瘤のコイル塞栓術、経皮的血栓回収術、頚動脈ステント留置術、血管奇形に対する塞栓術など

神経内視鏡手術

 皮膚を少しだけ切開し、脳に10円玉大の穴を開けて内視鏡を挿入して治療します。開頭手術に比べて体の負担が少ない手術です。下垂体腫瘍に対する経鼻的経蝶形骨洞手術も内視鏡で行っています。
 代表的手術:脳内出血に対する血腫吸引、水頭症や嚢胞性疾患に対する開窓術、生検術、経鼻的経蝶形骨洞腫瘍摘出術

急性期脳梗塞に対するアルテプラーゼ(tPA)静注療法、カテーテルによる血栓回収

 脳梗塞は脳の血管に血栓(血の塊)が詰まり、血が流れなくなって脳細胞の機能が障害されて麻痺などの症状を起こす病気です。詰まった時間が短ければ脳細胞は回復しますが、長くなると脳細胞は死んでしまい、さらに範囲も拡大するため症状は悪化します。そこでできるだけ早く血栓を溶かしたり、除去して脳細胞を救うことが重要となります。脳梗塞が起こって4時間半以内であればアルテプラーゼという血栓を強力に溶かす薬を注射することで症状がよくなる可能性があります。脳の大きな血管が詰まっている場合は、薬だけでは溶かしきれないため、血管の中にカテーテルを入れて、直接詰まっている血栓を取り除きます。

 いずれも24時間365日対応可能な体制を目指しております。

かかりつけ医をもつことのお勧め

 当院では、患者さんにかかりつけ医をもっていただくことをお勧めしています。脳神経外科では、地域連携パスなどを活用しかかりつけの先生と連携を行い、普段は地元のかかりつけの先生に診ていただき、容態が変わった時、あるいは定期的な検査などを脳神経外科で診させていただくようにしています。ご協力をお願いいたします。