ICU・HCU・救急外来・中央診療・中央手術
ICU
看護管理者として大切にしていること(看護科長:伊藤敬介)
当院ICUは12床で構成されています。ICUには集中治療を要する大手術の術後や、緊急入院といった重篤な患者さんが入室されます。ICUに勤務する看護師の役割は、他職種と連携を図り、集中治療を必要とする重症な患者さんの命を守ること、患者さんの命を支えることです。1日でも早く、患者さんが入院前の生活にもどることを目標に、看護管理者としてより良い療養環境を提供できるよう努めています。また、予期せぬ突然の出来事に心を痛めるご家族に寄り添い、心を尽くしてよりよいサポートが出来るよう努めています。ICUはスタッフ一人ひとりが迅速かつ正確な患者評価と適切な判断が出来ること、そして幅広い知識が要求される場でもあります。その根底には、常に相手の立場に立ち価値観や思いを尊重し、患者さんやご家族の心に寄り添うという姿勢を常に持ち続けることが必要です。ICUだからこそ出来る、心のこもった丁寧な看護を患者さん、ご家族に提供することを目指しています。また看護師同士がお互いの価値観や思いを尊重し、強みを伸ばしていくことを大切にし、働きがいのある職場作りを目指しています。
私たちの看護実践
ICUは、重要臓器不全の治療を行う部署であり、生命維持装置やモニタリング用機器などの高度な診療機器を取り扱います。ICUで勤務する看護師は、高度な診療機器を監視する能力、かつ五感を駆使して患者の異常を早期に察知して対応する能力が求められています。そのため、集中治療室の看護師は、病態生理から治療機器まで精通する努力を怠らず、集中治療期における最善の看護を提供できるよう努力しています。ICU看護師は質の高い看護を提供するために、多職種チームと協働し、合併症の予防と早期回復に向けた看護ケアに積極的に取り組んでいます。
また、ICU看護師は家族支援も大きな役割です。ICUの入室する患者さんの家族は、患者さんの生命危機に対し、何の準備も予測もないままに直面し、対処しなければならない状況に置かれます。そのため、ご家族もまた深刻な危機に陥りやすくなります。そのため、ICU看護師には対人関係を基盤とした信頼関係構築、複雑な状況への対応能力、高度な専門的能力も求められます。
部署教育の特長
ICU看護師には、的確で細やかな観察力と異常の判断ができる能力が求められます。そして高度な医療機器の管理に熟練する必要があります。そこで各疾患の治療や看護ケアの介入方法などを定期的に学習し、年間を通して学んでいける体制を整えています。特に院内異動者や新人看護師には個々に合わせた受け持ち体制をとり、日々の学びをフィードバックしながら、質の高い看護が提供できるように支援しています。スタッフ同士が相手の強みを認め合いお互いに成長していくことを大切にしています。学習会は看護師だけでなく、医師、臨床工学技師、薬剤師など他職種の協力も得ながら、より専門的な教育内容となっています。専門的な看護の視点は、専門看護師などのリソースを活用し年間部署教育計画に沿ってスキルアップできるよう支援しています。
HCU
看護管理者として大切にしていること(看護科長:伊東美佐)
不安な気持ちで入室される患者さんやご家族に対し、安心感を与えられる看護管理者でありたいと思っています。短い関わりの中でも、患者さんやご家族の思いに寄り添い誠実に対応することで、患者さんやご家族との信頼関係を築いていきたいと考えています。
また、スタッフがいきいきとやりがいを感じながら働ける環境を作ることが、患者さんが安心して過ごせる空間を作る事に繋がると考えています。患者さんやご家族の状態、気持ち、様々なことに「気付く」事ができ、気持ちに寄り添った看護ができることを大切にしていきたいと思っています。
私たちの看護実践
HCUでは、様々な診療科の術後患者さんの受け入れや、集中治療部門に入室していた患者さんが一般フロアへ移る前段階、また、予期せぬ緊急入院の受入れ病棟としての治療・看護を提供しています。HCU内にCCUも4床あり循環器の急性期の患者さんの看護を実践しています。手術後の患者さんに対しては、術後の急性期を安全・安楽に療養できるように配慮し、早期離床を進めています。集中治療部門からの転入患者さんに対しては、前部署での治療や看護を継続しつつ、一般入院フロアへの転棟に向けたリハビリを積極的に行い、患者さんが笑顔で一般入院フロアに向かうことができる事を目標として看護を実践しています。
部署教育の特長
HCUには様々な診療科の患者さん、またCCUには急性期の循環器疾患の患者さんが入室します。そのため、各診療科に対応できるよう、疾患や術後管理の学習会を適宜実施しています。また一人で未経験の術後管理や循環器疾患看護で困ることのないよう、パートナーシップナーシングでOJT (on-the-job training)を実践しています。医療機器の操作については臨床工学技師の協力を得て、安全な医療機器操作ができるよう勉強会を行っています。このように年間を通して、疾患から術式、術後管理、術後看護、術後せん妄の勉強会をタイムリーに企画するなど、部署の看護力の向上を目指した教育計画をたて実施しています。
救急外来・中央診療
看護管理者として大切にしていること(看護科長:古田さより)
救急外来・中央診療は、緊急症例に対する初期治療やカテーテル・内視鏡の検査・治療に対する看護をする部門です。緊急で治療を余儀なくされた患者さんも、検査や治療を行う患者さんも、どんな病気なのか、上手く治療ができるのかなど、様々な不安を抱えていらっしゃいます。また、緊急で治療が必要になった患者さんは、突然の出来事に恐怖を感じる方も多いでしょう。そのような患者さんが、安心して検査や治療に向き合えるように環境を提供することが看護として大切なことだと考えています。そのためには、安全な環境を作り、患者さんの個別性を尊重した看護の提供が大切です。このことを実践するためには、看護師自身が心身共に健康で、豊かな人間性を持つ事が重要だと考えています。そのために、スタッフとのコミュニケーションの時間を大切にし、スタッフ自身が生活や看護の仕事に向き合えるよう共に考えるよう心がけています。また、心理的安全性を高め、何でも言い合える職場風土を作ることで、より良いチーム医療が実践できることを目指しています。
私たちの看護実践
救急外来・中央診療では、「安全に迅速につなぐ」を目標にかかげ、病院前救護から初期治療、カテーテル治療、内視鏡治療、地域連携を実践しています。具体的には、休日夜間のER・トリアージ・プレフォスピタルケア・救急患者への初期治療・帰宅する患者さんへの地域支援・カテーテル、内視鏡患者の検査および治療・院内の急変患者対応を実践しています。
緊急時だからこそ、安全な治療や検査を提供し、安心していただけるように、患者さんやその家族に寄り添ったケアを心がけています。
フライトナース、DMAT看護師、内視鏡技師、IVR認定看護師の育成をし、高度な検査や治療に、確かな知識と技術で対応できるように日々研鑽をしています。チーム医療を実践していくうえで、多職種とのカンファレンスを積極的に行ない、それぞれの役割を効果的に発揮しながら、専門性を活かした医療が展開できるように看護を実践しています。
部署教育の特長
新しい知識や技術に対応できるよう学びを深め、根拠に基づいた看護実践ができるよう部署教育として年間計画を立て、取り組んでいます。
部署教育のコンセプトとして、「目で見て、実際に触ってみて、理解を深める。」をかかげ、見て分かりやすい資料を作成し、実践に即した技術シミュレーション、OJTを大切にした指導を行っています。
中央手術・滅菌室
看護管理者として大切にしていること(中央手術看護科長:岡﨑啓 滅菌室看護科長:田中拓子)
患者さんの治療のスタートラインである手術看護師の関わりは、ほとんど患者さんの印象に残ることはありません。しかし、私たちは患者さんにとって最良の治療環境を創ることに努力を惜しみません。私たちは管理者として、患者さんの安全・安心のためには「妥協しない」、「改善の努力」、「心地よさの追求」という姿勢を大切にしていきたいと思っています。患者さんのつらさを肉親のように感じ取り安心を提供し、手術チームに対する細やかな気配りとやさしさを備えること。そして、高い倫理観を育むことが患者さんへの最良の環境と考えています。毎日の経験や学習の積み重ねが手術看護師の「知」「技」「こころ」となり、看護実践に反映されます。
手術看護のやりがいや達成感を実感するには多少時間を要しますが、スタッフ1人1人と丁寧にかかわり、手術看護に携わることを誇りに思うスタッフを育成していきたいと思っています。
私たちの看護実践
手術看護の目的は「患者さんが安全・安楽に、そして安心して手術が受けられる」ことです。手術は最大のチーム医療が実践される場であり、各々の専門性を効果的に発揮することで手術が円滑に進みます。看護師は、患者さんに最も近い存在として、あるいは医療チームの要として多方面に調整役として活動しています。そして、手術中、全権を医療者に委ねなければならない患者さんの代弁者や擁護者として患者さんのニーズに応える支援をしています。特に、手術の侵襲(体温低下・褥瘡・神経障害など)をゼロにするためのケアは全国標準以上の取り組みを行なっています。
ロボット手術等先進的な手術や難易度の高い手術に対応しており、術中リスク管理(体温管理、褥瘡管理、SSI対策など)を強化していくために、日々精進しています。
部署教育の特長
手術看護認定看護師と教育担当者が集合教育、OJT、シミュレーションなど様々な手法で教育を行っています。手術看護は看護の基礎教育課程でほとんど触れる機会がないため、手術室に配属されて、新しい知識や技術を習得していく過程で、とまどいが多くあります。まずは手術看護の意義を理解してもらい、手術看護が楽しいと思える教育を計画しています。
1年目は「覚えるだけで精一杯」、2年目になると「周りをみるゆとり」ができ、3年目で「一通りのことができる」ようになります。このように1年ごとに経験を積み重ね、繰り返し実践するなかで、熟達した技術を習得していきます。