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医療局

医療局長からのご挨拶

 平素より高知医療センターに格別のご支援を頂き心より感謝申し上げます。このたび前任の山本克人先生のあとを引き継ぎ、2021年4月から医療局長の任を仰せつかりましたので、一言ご挨拶申し上げます。
 私は当院開院以来消化器外科・一般外科の医師として、2019年からは同科の科長として消化器外科診療の維持・発展の任に当たって参りました。当院の医療局は、スタッフ医師、初期研修医、専攻医をあわせると全体で190名に及ぶ大所帯であり、その人数を生かして各科・各局や他の医療機関と積極的に連携することの重要性を日々の診療業務の中で感じて参りました。時代とともに様々な新技術の導入を経て各診療科に高い専門性が求められるようになったと同時に、診療科同士が有機的に繋がることで大きな力を発揮できるようになったともいえます。キャンサーボードやCPCをはじめ、診療科を跨いで治療方針や症例を検討する場が定着しつつあるように、診療科間の連携を充実させることによって、病院全体としてのレジリエンスを高めてゆくことが求められています。
 このような変化の最中にある医療局の大きな課題として、時間外労働に対する取り組みがあります。数年前より厚生労働省が推進している「医師の働き方改革」を受け、当院においても昨年度から腹部疾患診療部長・兼医療局参事の中村敏夫先生が中心となり積極的に取り掛かっておりますが、業務のワークフローの抜本的な見直しや意識改革等の多くのハードルがあります。また、救命救急医師の減少に伴う救急医療体制の見直しも喫緊の課題であり、前医療局長の山本克人先生を中心として各科の協力のもと取り掛かっております。いずれについても、各科のご理解と協力のもと継続的な取り組みが必要とされる正念場にあります。加えてこの一年間、当院は新型コロナウイルス感染症の対応医療機関としての診療を行なって参りましたが、既存の疾患群に対して従来通りの高度な急性期医療を提供し続けることも重要な任務であり、未だに予断を許さない状況にあります。
 この4月、医局では14名の初期研修医、9名の専攻医、19名のスタッフ医師を迎え、新顔がそこかしこに見られる春らしい雰囲気となっています。当院のような急性期医療病院において研修医の力は必要不可欠でありますが、同時に質の高い臨床教育が可能でなくてはなりません。県下有数の症例数があり経験豊かな指導医が各科に在籍している当院では、高レベルな臨床教育の環境が実現されております。しかしこれは気持ちよく働ける医療局なくして維持できるものではありません。これらの条件を満たしたときに初期研修医、専攻医の先生方の活力は自ずと病院の原動力になるでしょう。
 医療局長としての私の責務は、経営陣の思いと医療現場の思いを継ぐ潤滑油となることにあると考えております。当院が地域の医療機関に支えられながら健全に発展し、県民の皆様方のご期待に添える診療体制を維持するためには、まず何よりも最前線で働く医師やスタッフと経営陣の間の十分な意思疎通が要と思うからです。
 医療局代表の一人としての重責に身が引き締まる思いでありますが、歴代の医療局長の先生方が築いて下さった礎をもとに、今後の医療局の発展そして県民の皆さんの健康に微力ながらお力添えが出来ればと思っております。何卒ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。

医療局長 尾崎 和秀