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当循環器病センターの特徴

循環器病センターの特徴

当センターでは、(1)ハートチームによる最適な医療の提供、(2)迅速で高度な循環器救急医療の提供、(3)高度最先端の循環器疾患治療の提供、(4)地域医療連携の強化、(5)臨床研究の推奨 を主な特徴として日々の循環器疾患治療に取り組んでいます。


(1)ハートチームによる最適な医療の提供

 全身臓器に血液を供給している「循環器」の疾患は、当然ながら全身の各臓器と密接な関係をもっており一部の障害が全体の機能に大きく影響します。単純に内科的治療や外科的治療のみでは対応できない事が経験されます。
 私達の循環器病センターでは、この多種多様な循環器領域の病気を一つ一つきめ細かく適切に診断及び治療する目的で、循環器内科・心臓血管外科、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床工学士、理学療法士等が一つのチームとして一人一人の患者さまに最適の医療を提供いたします。

  • 多職種心不全カンファレンス 多職種心不全カンファレンス


(2)迅速で高度な循環器救急医療の提供

 循環器疾患は、「急性心筋梗塞」「急性大動脈解離」等に代表される急性期の救急病態が多く、その治療においては迅速性が最も要求されます。一方で、本県は東西に長い地理的特徴を持ち、交通網が未発達であるため循環器急性期医療には大きなハンディキャップを負っています。
 当循環器病センターは、県下で唯一24時間365日、循環器医師が常駐し、救急患者の受け入れ直後より循環器医師による循環器疾患救急治療が提供できるシステムをとっております。
 当院救命救急センターとの密な連携の元に、ヘリ、ドクターカー及び救急車搬送の機動力を効率的に生かしながら、日々の循環器救急医療にあたっています。当院に搬送された循環器救急患者は循環器医師の診断の後に、適切な救急医療(緊急カテーテル治療、緊急開胸手術等)や集中治療を要する重症疾患(重症心不全等)への迅速な対応が可能となっております。

  • 緊急カテーテル治療 緊急カテーテル治療

 

(3)高度最先端の循環器疾患治療の提供

 循環器疾患の治療は命に直結するため、常に安全かつ最先端の医療が求められます。 開設以来、循環器病センターは、常に「体に優しく安全性の高い最先端の循環器治療」を追求してまいりました。 虚血性心疾患に対するカテーテル治療は近年の医療器具や手技の進歩により、局所麻酔で約30分~1時間程度で治療をほぼ完遂することが可能となりました。また近年では虚血性心疾患のみならず、これまで開胸手術のみであった心臓弁膜症に対するカテーテル治療が急速に進歩しております。当院では2015年1月から大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)、2019年5月からは僧帽弁閉鎖不全症に対する経皮的僧帽弁クリップ術(マイトラクリップ)が施行可能となっております。

  • TAVI(左) マイトラクリップ(右) TAVI(左) マイトラクリップ(右)

 一方、当センター循環器外科チーム(心臓血管外科)においては、高齢者の多い虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)に対し全国に先駆けて「体に優しい」低侵襲心拍動下冠動脈バイパス手術をおこなっており、800例を超える良好な治療実績で全国をリードしています。当センター外科チームでは低侵襲手術を基本理念に年間350例を越す心臓・血管手術を行い良好な成績をおさめています。
 また、当センターはステントグラフト治療認定施設として、従来は外科手術治療の対象であった大動脈瘤手術に対してもカテーテル室での低侵襲なステントグラフト治療を行なっております。従来は治療困難であった重症の大動脈瘤患者も安全に治療されております。
 また、重症心不全や重症虚血性心疾患症例に対して、これまで体外式膜型人工肺装置(ECMO)や大動脈バルーンパンピング(IABP)を用いて集中治療を行っておりました。これらの装置に加えて、インペラ(IMPELLA)補助循環用ポンプカテーテルを高知県で最初に導入しました。インペラはこれまで開胸手術でしか不可能であった左心ポンプの補助が経皮的導入で可能となっており、これまで治療困難であった重症症例の救命に寄与しております。

  • IMPELLA及びVA-ECMO IMPELLA及びVA-ECMO

(4)地域医療連携の強化

 地域連携については「地域完結型」の医療の強化に努めています。ご紹介頂いた患者さんに対する適切な診断・治療の後は、必ずご紹介元であるかかりつけ医の先生方の所で継続した診療をお願いすることを徹底します。かかりつけの先生方が地域の患者さんに対して、循環器疾患予防を実践し、診療に困った場合や専門治療が必要な場合はいつでも遠慮なく紹介でき、当科での専門治療後は地域に速やかに帰ることができるシステムを目指しています。


(5)臨床研究の推奨

 症例や臨床研究を報告、論文化することは臨床医師の義務と考えております。臨床の現場で私たちが症例を通じて得た経験を、論文という形で多くの他の医師に情報を共有することで、その結果、多くの症例を救うことが出来ると考えております。当循環器病センターでは国内学会総会・国際学会に多くの発表を行っております。

  • 2019年「心臓」賞 優秀賞(左)、2015年 ヨーロッパ心臓病学会(ESC) BEST POSTER(右) 2019年「心臓」賞 優秀賞(左)、2015年 ヨーロッパ心臓病学会(ESC) BEST POSTER(右)